旅行業の法令と、旅行業登録・申請 「旅行業」とは
【「旅行業」の定義-旅行業法第2、3条】

更新日:2022年08月10日


「旅行業」とは【「旅行業」の定義-旅行業法第2、3条】

1. 「報酬」を得て2. 次の旅行業務を取り扱うことを、3. 「事業」とする場合には、旅行業の登録が必要となります。

1.  報 酬 次の旅行業務を行うことによって経済的収入を得ていれば「報酬」となる。
(報酬とは? 募集経費、割戻金、送客手数料、旅行業務取扱料金等)
2.  旅行業務(法第2条第1項関係)
  • 1.旅行者の募集のためにあらかじめ、又は旅行者からの依頼により旅行の計画を作成するとともに、旅行者に提供する旅行サービスに係る契約を「自己の計算」により運送等サービス機関と締結する行為 【企画旅行の企画・実施】

  • 〔企画旅行〕
    • あらかじめ旅行の計画を作成=「募集型企画旅行」
    • 旅行者からの依頼により旅行の計画を作成=「受注型企画旅行」
    • 「自己の計算」旅行業者の自己の経済的リスクにより旅行サービス等を仕入れ自由に値付けをする行為
  •  
  • 2.前項に付随して旅行者に運送等関連サービスを提供するため運送等関連サービス機関と自己の計算により契約を締結する行為
  • 3.旅行者のための運送等サービスの提供を受けることに関し、代理、媒介、取次ぎをする行為
  • 4.運送等サービスのための運送等のサービスを提供することに関し、代理、媒介をする行為
  • 5.利用運送・利用宿泊行為
  • 6.旅行者のための運送等関連サービスの提供を受けることに関し代理、媒介、取次をする行為
  • 7.運送等関連サービス提供者のための運送等サービス以外の旅行サービスの提供を受けることに関し、代理・媒介をする行為
  • 8.諸手続き代行及び旅行者の便宜上のサービス提供行為
  • 9.旅行に関する相談に応じる行為
3.  事  業
目的ある同種の反復継続的行為
例えば、旅行の手配を行うことを宣伝している場合
店を構え、旅行業務を行う旨の看板を掲げている場合のように行為の反復継続の意思が認められる場合

登録の種別【法第4条・規則第1条の2関係】

取り扱う業務の内容によって、次のいずれかの登録が必要になります。

旅行業

  • 第1種旅行業
    • 海外・国内の募集型・受注型企画旅行の企画・実施、海外旅行・国内旅行の手配旅行、及び他社の募集型企画旅行の代売を行うこと
  • 第2種旅行業
    • 国内の募集型企画旅行の企画・実施、海外・国内の受注型企画旅行の企画・実施、海外旅行・国内旅行の手配旅行、及び他社の募集型企画旅行の代売を行うこと。
  • 第3種旅行業
    • 海外・国内の受注型企画旅行の企画・実施、海外・国内旅行の手配旅行、及び他社の募集型企画旅行の代売を行うこと。また、実施する区域を限定し、国内の募集型企画旅行の企画・実施が可能。
  • 地域限定旅行業
    • 第3種旅行業同様、実施する区域を限定(出発地、目的地、宿泊地および帰着地が営業所の存する市町村、それに隣接する市町村、および、観光庁長官の定める区域内に収まっていること)し、国内の募集型企画旅行の企画・実施が可能。
    • また、受注型企画旅行についても、募集型企画旅行が実施できる区域内で実施が可能で、手配旅行も同様の区域内の取り扱いが可能。

旅行業者代理業

  • 報酬を得て、旅行業を営む者のため上記の旅行業務1.~8.を代理して契約を締結する行為を行う事業を言います。【第2条第2項】
  • 企画旅行を実施することはできません。
  • 2つ以上の旅行業者を代理することもできません。
  • 業務範囲は、所属旅行業者と締結した旅行業者代理業業務委託契約書の範囲内になります。

登録の申請先【法第3条・規則第1条の1関係】

申請する旅行業等の種別によって登録行政庁が異なります。

第1種旅行業 観光庁(観光庁長官)
第2種旅行業、第3種旅行業、地域限定旅行業、旅行業者代理業 都道府県(都道府県知事)
  • 都道府県知事登録は、旅行業者等の「主たる営業所(旅行業務に関し拠点となる営業所)」を官轄する知事が行う。従って旅行業者等の登記上の本店所在地とは異なる場合もあります。

登録の拒否事由【法第6条】

申請者が次の各号のいずれかに該当する場合は、申請は拒否されます。

  • 1.旅行業法第19条の規定により旅行業若しくは旅行業者代理業の登録を取り消され、又は第37条の規定により旅行サービス手配業の登録を取り消され、その取消しの日から5年を経過していない者
  •  (当該登録を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しに係る聴聞の期日及び場所の公示の日前60日以内に当該法人の役員であつた者で、当該取消しの日から5年を経過していないものを含む。)
  • 2.禁錮以上の刑に処せられ、又は旅行業法の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から5年を経過していない者
  • 3.暴力団員等
  •  (暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)第2条第6号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなつた日から5年を経過しない者をいう。第8号において同じ。)
  • 4.申請前5年以内に旅行業務又は旅行サービス手配業務に関し不正な行為をした者
  • 5.営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が前各号又は第7号のいずれかに該当するもの
  • 6.心身の故障により旅行業若しくは旅行業者代理業を適正に遂行することができない者として国土交通省令で定めるもの又は破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  • 7.法人であつて、その役員のうちに第1号から第4号まで又は前号のいずれかに該当する者があるもの
  • 8.暴力団員等がその事業活動を支配する者
  • 9.営業所ごとに旅行業法第11条の2の規定による旅行業務取扱管理者を確実に選任すると認められない者
  • 10.旅行業を営もうとする者であつて、当該事業を遂行するために必要と認められる旅行業法第4条第1項第3号の業務の範囲の別ごとに国土交通省令で定める基準に適合する財産的基礎を有しないもの
  • 11.旅行業者代理業を営もうとする者であつて、その代理する旅行業を営む者が2以上であるもの

旅行業務取扱管理者の選任【法第6条第9号・法第11条の2】

  • 営業所ごとに旅行業務取扱管理者の資格を有する者を選任出来ること。
    • 旅行業務を取り扱う従業員がおおむね10名以上になる営業所においては、複数の管理者を選任しておくこと。
    • 国内旅行業務取扱管理者のみを選任している営業所においては、海外旅行業務の取り扱いはできません。
    • 地域限定旅行業務取扱管理者のみを選任している営業所においては、地域限定旅行業務以外の旅行業務の取り扱いはできません。

財産的基準【法第6条第1項第8号・施行規則第3条及び4条】

以下の計算式によって得られる金額が、登録業務範囲ごとに定められている額以上になることが必要です。この金額を基準資産額といいますが、基準資産額の算出には、最近事業年度の決算書による貸借対照表、又は、財産に関する調書に基づき算出されます。

基準資産額の算出式

貸借対照表

資産の部 A
うち、
▲不良債権
▲繰延資産(創業費等)
▲営業権
B 負債の部
C
うち、資本金○○○万円含む
純資産の部

上記計算により算出される金額が

第1種旅行業を営もうとする者 3,000万円以上
第2種旅行業を営もうとする者 700万円以上
第3種旅行業を営もうとする者 300万円以上
地域限定旅行業を営もうとする者 100万円以上

になることが必要です。

  • 注 1
  • 資本金が基準資産額以上ということではありません。例えば、第1種旅行業を営もうとする者の資本金が3,000万円以上でなければならないと言うことはありません。
  • 注 2
  • 基準資産額に満たない場合には、増資等の処置をとるか、資産又は負債の評価額が、貸借対照表の価格と異なることが明確なときは、再評価額をもって計算します。(例 不動産・有価証券等)
  • 注 3
  • 設立後最初の決算期を終了していない法人の場合は、会社法(平成17年法律第86号)第435条又は第617条に規定する会社設立時の貸借対照表によって計算します。
【参考として】
  • ・不良債権とは、長期未収等回収の見込みがないもの。
  • ・営業権とは、合併や買収により企業評価を行う場合、営業の譲り受けのために支払う金額が受入純資産額を超過する場合に、その超過部分をいいます。
  •  営業権は、暖簾とも言われています。営業権は買い入れたときは資産として計上されますが、法律の上で特別に保護される権利ではなく、なんら具体的な物品を表しているものではありません。
  • ・繰延資産とは、支払いが完了し、または債務も確定し、すでに用役を受入れ消費したが、その効果が将来の収益獲得に役立つという意味で、将来の期間に繰延られたいわゆる繰延費用です。
  •  繰延資産勘定科目には、創立費、開発費、新株発行費、社債発行費、社債発行差金、試験研究費、建設利息があります。

営業保証金の供託又は弁済業務保証金の納付【法第7条~10条】

  • 新規に旅行業の登録を受けた旅行者は、登録通知を受けた日から、14日以内に営業保証金を供託又は弁済業務保証金分担金を旅行業協会に納付し、その写しを添付してその旨を観光庁長官又は都道府県知事に届出なければなりません。
  • 営業保証金と弁済業務保証金分担金とは、旅行業協会に入会しているか否かで区別されます。旅行業協会に入会している場合は、協会の保証社員となり弁済業務保証金制度の適用を受け、弁済業務保証金分担金を旅行業協会に納付すれば、営業保証金の供託義務は免除されます。
  • 弁済業務保証金分担金の額は営業保証金分担金の額の5分の1に相当する額です。
  • 旅行業新規登録の場合は、登録行政庁に申請書類を提出する以前に、旅行業協会への入会申込みの手続きをすれば弁済業務保証金での制度の適用を受けることができます。
  • 営業保証金、又は、弁済業務保証金分担金の額は、当該旅行業者の前事業年度における旅行業務に関する旅行者との取引の額に応じて、登録業務範囲の別ごとに、定められています。
    新規登録の場合は、申請書類に添付した年間取引見込額によります。
    次表はその最低額を例示したものです。
種別 営業保証金の場合 弁済業務保証金分担金の場合
(旅行業協会の保証社員の場合)
第1種旅行業 7,000万円 1,400万円
第2種旅行業 1,100万円 220万円
第3種旅行業 300万円 60万円
地域限定旅行業 15万円 3万円

第1種旅行業 ―観光庁長官登録の場合―

  • 1.申請書類の作成
  • 2.観光庁での申請前ヒアリング
  • 3.所轄運輸局等へ申請書提出
  • 4.観光庁にて審査
  • 5.所轄運輸局等から登録通知
  • 6.営業保証金の供託、または弁済業務保証金分担金(旅行業協会の保証社員となる場合)の納付
  • 7.供託書の写し(弁済業務保証金分担金)を登録行政庁へ送付
  • 8.登録免許税納付
  • 9.登録票・約款・料金表の店頭への掲示後営業開始

第2種・第3種・地域限定旅行業 ―都道府県知事登録の場合―

  • 1.申請書類の作成
  • 2.申請前のヒアリング(都道府県によって異なる場合がある。)
  • 3.各都道府県担当窓口へ申請書類提出
  • 4.都道府県担当窓口で登録審査
  • 5.都道府県担当窓口より登録通知
  • 6.旅行業新規登録手数料納付
  • 7.営業保証金の供託、または弁済業務保証金分担金(旅行業協会の保証社員となる場合)の納付
  • 8.供託書の写し(弁済業務保証金分担金の納付書)を登録行政庁へ送付
  • 9.登録票・約款・料金表の店頭への掲示後営業開始

旅行業者代理業 ―都道府県知事登録の場合―

  • 1.旅行業者(以下「所属旅行業者」という)と「旅行業者代理業業務委託契約」を締結
  • 2.申請書類の作成
  • 3.申請前のヒアリング(都道府県によって異なる場合がある。)
  • 4.各都道府県担当窓口へ申請書類提出
  • 5.都道府県担当窓口で登録審査
  • 6.都道府県担当窓口より登録通知
  • 7.旅行業者代理業登録手数料納付
  • 8.所属旅行業者へ登録通知があった旨を連絡
  • 9.所属旅行業者と同じ登録票・約款・の店頭への掲示後営業開始