太平洋アジア観光協会(PATA)日本支部 2009 PATA年次総会・理事会・世界支部会議報告(マカオ)

更新日:2023年03月02日


2009年度PATA年次総会・理事会、そしてPATA世界支部会議といった一連の行事が、去る4月18日(土)~21日(火)まで、マカオのMGM Grand Macau にて開催されました。新たにCEOに就任したグレッグ・ダッフェル氏を初め、PATA幹部、理事メンバー、そして世界39ヵ国のPATA支部メンバーなど260名が一堂に会した大きなイベントとなりました。
日本支部からは、石槫会長(JAL), 西頼副会長(ANA)、田所理事(JAL), 鏑木理事(トラベルジャーナル)の他、事務局からも2名が参加してまいりましたので、今回はこの報告を中心にお伝えします。

■ PATA年次総会:ビジネス・フォーラム

「逆境下でビジネス・シャンスを見つける!」というテーマの下、全世界を揺るがす経済不況化の中での旅行業界のあり方を討議するビジネス・フォーラムが開催されました。VISA中国のジェネラル・マネジャー、Mr. Sheng Li 及びGoogle 社副社長のMr. John Liu による基調講演に続き、さまざまな分野からのスピーカーが出席し、それぞれ興味深いテーマに沿ったセッションが開かれました。 討議内容の概要及び要点は、以下の通りです。

  1. 欧米に比較すれば、まだ影響は小さいものの太平洋アジア地域への影響がジワジワと広がっているのが認識される。太平洋アジア地域内でも、国ごとに影響の度合いに格差があり。
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  3. 欧米を始めとした長距離需要への影響は、昨年末から如実になってきている一方、替理由もあるが、近距離・安価・短期間の旅行は伸びを見せている。
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  5. 唯一堅調なのは、スペシャル・インタレスト・ツアー(SIT)。中でも、美容・健康(Health Care Travel)や医療(Life Style Desease=メタボ治療を含む生活習慣病治療)に関連したツアーが人気を集めている。
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  7. サッカーなどのスポーツ観戦や趣味や学習を目的とした「特別な目的」のためのパッケージツアーがこれからは期待できる。
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  9. また、様々な特典を取りまとめた目玉旅行「Best Deal Tour」は、ウェブサイトのアクセスの増加とともに今後ますます注目されていくと予想される。
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  11. 今後の旅行需要を含めた経済回復は2009年~2010年にかけての期待は薄い。2010年末~2011年の回復を待つしかない。
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  13. リストラを含めた費用削減努力は当面必至で、すでに旅行業界においても対応が進んでいる。無駄な投資・費用支出を抑えるのは当然だが、回復後の展開を含めた長期的視野での計画・準備が必要不可欠である。
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  15. 今回の経済不況では業務渡航に比べ、観光需要回復が早いと予想される。観光需要促進の為には、政府・観光局・空港・航空会社・船会社・旅行会社・ホテルなど総ての業界関係者が知恵を出し合い、総合的対応を行うことが求められている。
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  17. 消費者の収入は企業収益に比べて相対的に良好だが、残念ながら財布の紐は非常に硬くなってきている。しかし、旅行への希望は大幅には下がっていない(VISA調査)。旅行の魅力・効果などを訴え、原点に返って販売促進等を展開すべき。
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  19. 消費者のインターネット指向は根強くなってきており、GOOGLE や EXPEDIA へのアクセスは以前とはくらべものにならないくらい伸びてきている。ウェブサイトの構築やグレードアップを図り、この波に乗り遅れないようにすることが大事。
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  21. インターネットでは、よりよい条件(DEAL)を求めて多くのウェブサイトにアクセスしているが、最終決断・購入に至るまでには相当時間を要している。このDEALのキーワードは、「Good:良い」「Cool:興味がそそられる」「Fast:スピーディ」「Cheap:安価」。
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  23. 現在の観光政策上、旅行者数を目標に掲げているが(ここ数年は達成不可能が明白となっている)、将来的には量的指標から質的指標に変更していくべきであり、その方策検討も業界を挙げて進めるべきである。

■ 中国国家観光局(CNTA)による中国の観光政策に関するプレゼンテーション

今回のセッションの一つとして、中国国家観光局(CNTA)のDeputy Director-General ,Ms. Wang Yan に
よる現在の中国国家観光局の観光政策に関するプレゼンテーションが行われました。概要は以下の通りです。

  1. 中国では、「第二の旅行ブーム」というのが起きている。高学歴、高収入な旅行者は洗練された旅行、ハイエンドなラグジュアリーな旅行を好む傾向にあるので、従来のマーケット分析だけでは語れない層への対応が必要。また、FIT旅行者も増えてきており、これは大きな変革と言える。
  2. 中国政府としても、国内旅行回復キャンペーンに力を入れる一方、アウトバウンドについても旅行の奨励、教育を施している。
  3. 中国国家観光局の海外向けプロモーションとしては、以下のようなものがある。
    ・アセアン諸国へのプロモーション強化
    ・アメリカ合衆国とのより深い関係強化とCNTA職員50人の駐在
    ・中国内の13省の相互連携の強化
  4. 2009年の上海エキスポは、インバウンド・アウトバウンド双方で大きな旅行需要喚起の効果をもたらすものと期待している。

■ PATA世界支部会議

今回、新たな試みとして年次総会の最終日にPATAの各支部代表による「世界支部会議」が開催されました。現在世界に42のPATA支部がありますが、今回はその中から日本も含め22の支部の代表が参加、3時間半にわたり、熱い議論が繰り広げられました。
今後は、支部間及び支部/本部間で、「BtoBのプラットフォームを構築」するとともに、「透明性を持たせた連携を強化」することにより、支部メンバーがよりPATAのメリットを享受できるようになると期待されます。今回、日本支部も過去の経緯と支部の現状、現在のホームページを利用した会員サービスの向上について説明するとともに、PATA日本支部への支援、協力をお願いしてきました。

■ PATAアワード授賞式

長年の旅行業界に対する功績を称えて贈られている「PATAライフメンバーシップ・アワード(名誉終身会員)」が、今年は、PATA日本支部の石槫会長に贈られました。PATAの最高名誉と言えるライフメンバーは、日本では現在3名のみ、世界でも存命ライフメンバーは 20名あまりに過ぎません。石槫会長おめでとうございました。 

★ PATAトラベルマート   2009年9月22日~25日   中国・杭州 ★

第32回目を数えるPATAトラベルマート(PTM)が、本年の9月22日(火・祝祭日)~25日(金)まで中国の杭州ワールド・トレード・センターにて開催されます。世界各国からのバイヤー/セラー合わせて1,300名以上が参加する本トラベルマートに、日本からのセラーとホステッド・バイヤーを募集中です。世界観光機関(UNWTO)によると、中国のアウトバウンドは年間4000万人の伸びを見せており、世界の中でも5番目の送り出し国となっております。また、インバウンドも2010年までには1億6千万人を超えると予想されております。中国国家観光局と世界観光機関(UNWTO)により「中国ベスト観光都市」に選ばれた美しい都市、杭州で、大きなビジネスチャンスを見つけて下さい。今年も、PATAトラベルマートにはPATA日本支部を中心に「ジャパン・ツーリズム・ブース」を運営する予定です。こういう時期だからこそ、日本チームが一丸となって、中国でのトラベルマートに参加しませんか?PATA日本支部ホームページにて詳細をご確認下さい。皆様からのお問い合わせもお待ちしております。