太平洋アジア観光協会(PATA)日本支部 黒澤PATA日本支部会長からの新年メッセージ:令和5年

更新日:2023年02月28日


 

PATA Japan Chapter会員の皆様方、新年あけましておめでとうございます。
世界をパンデミックに陥れたCovid-19の影響を受けてから3年もの月日が経ちましたが、ようやく昨年10月11日より国際交流が出来やすくなったことから、今年こそツーリズムの本格的回復に向けて期待の持てる1年となって欲しいものです。

振り返って、昨年はオミクロン株の影響を受け鎖国状態からスタートしました。
先行きが不透明な環境の中、PATAメンバーのみならず、日本中の観光産業に従事する方々が、将来に対して具体的な希望を抱けず、大変悩ましい状況でした。
経営サイドに至っては、キャッシュマネジメントや要員コントロール等において継続して厳しい判断を余儀なくされることも多く、事業を断念したり、業界を去って行ったりする仲間を数多く目の当たりにしてきたことは記憶に新しいところです。

昨年期中から段階的に国際交流が再開されたものの、本格的開国に至るまで、世界の主要国に大幅な遅れをとってしまったことから、再び観光立国としての地位を確立するためにも、今年は正念場となるものと想定できます。

幸い昨年の開国宣言以降、円安効果も奏功し、世界各国からの訪日意欲は凄まじいものがあります。
特に欧米豪や富裕層市場の回復速度には目を見張るものがあり、航空路線、ホテル等の受入条件が整えば、年内にもコロナ前までの状況に戻る可能性も伺えます。
中国を除くアジア諸国についても、遅れていた国際交流を取り戻しつつあり、ようやく正常化に向けて動き出した感があります。

3年に亘る苦境を乗り越えてきた日本の観光産業にとって、今年は正に再び成長路線へと歩むためのターニングポイントとなる重要な年であると同時に、急回復する需要を吸収するために、この間失った人財やノウハウを早期に復活させなければなりません。
特に人材不足問題は、日本のみならず世界的共通問題です。
観光産業全体を再び成長戦略の一環として位置づけ、再び自信を取り戻し、雇用促進が図れるよう政府のバックアップも待たれるところです。

また、ポストコロナにおいて今後は益々Sustainable Tourismがクローズアップされてくると言われています。
現に昨年10月に開催されたPATA Annual Summitにおいても、テーマが“Reconnecting the World Sustainably”となっており、世界中で持続可能な観光が主要テーマになりつつあります。
但し、サステナブルツーリズムと言っても、デスティネーションやビジネス形態によって捉え方が様々であり、CO2、プラスティック等の削減や気候変動問題から歴史・文化の保全まで、その関心は多岐に亘っています。
厳密に言葉を定義すること以上に、日本流の持続可能な観光のあり方を模索し、マーケティングやブランディングにも具体的に応用しながら、より一層質の高いツーリズムのあり方を追求していくことが、今後益々望まれて来るのではないかと推測します。

政府も観光産業の復活に向けて、ようやく2025年訪日旅行消費額5兆円の目標を掲げ、官民一体となった政策議論が始まりました。
目標に向かってロードマップを掲げ、前述のような開国に伴う急速な需要回復がもたらす影響やポストコロナにおける訪日旅行の変化にいち早く対応していくことが、今後の観光振興への大きな原動力となっていくものと思われます。
これを機に、PATA Japan Chapterとして、PATA本部や他の国内外のツーリズム関連団体、会員の皆様方との連携をより一層深め、早期に現状を打開の上、大きな変化を迎える節目の1年を新たなる成長ドライバーと位置づけて活動していく所存です。 今年もよろしくお願い申し上げます。

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