安心・安全で快適な旅のための情報 一覧 シニア世代の安全海外旅行術
~ トラベルクリニックの上手な活用を~

更新日:2024年02月05日


【特別寄稿】

          大越裕文 医師

  医療法人社団航仁会 西新橋クリニック 理事長
医師 : 大越裕文

海外旅行は日本では体験できないすばらしい体験と感動を与えてくれます。
コロナの流行が落ち着いたなか、そろそろ海外旅行したいと思われている方も多いのではないでしょうか。でも、健康や体力に自信がないのでどうしようかと悩まれる方もいらっしゃるでしょう。
そこで、安全に海外旅行を楽しんでもらうための事前の準備と対策を紹介いたします。

海外渡航の健康リスクは、皆さんの現在の健康状態と海外旅行に伴うリスクに大きく分けられます。
健康状態については、まずはかかりつけの先生に、旅行中の対策については、海外渡航の専門家であるトラベルクリニックの先生に相談しましょう。以下に、対策のポイントについて説明いたします。

  1. かかりつけの先生に、持病に関する注意、静脈血栓(いわゆるエコノミークラス症候群)予防などを相談しましょう。時差の大きな地域へ旅行する場合は、移動中の常用薬の内服方法も確認しましょう。
  2. 次に、トラベルクリニック で、海外旅行で推奨されているワクチン接種など感染症対策を受け、航空機や渡航先での注意を指導してもらいましょう。
  3. インフルエンザ、肺炎球菌、帯状疱疹など、日常でも推奨されているワクチンはしっかり接種しておきましょう。
  4. 健康に不安のある方は、旅行会社に相談し、無理のない旅行計画を立てましょう。
  5. 歩行などに不安な方は、航空会社にサポートをお願いしましょう。また、飛行中にトイレに行きやすいように、通路側の座席を予約しましょう。
  6. 常用薬を少し多めに用意し、英文の健康情報は必ず携帯しましょう。
  7. 旅行保険は医療搬送費用までカバーする保険に加入しましょう。
  8. 旅行中の健康問題(乗り物酔い、便秘、下痢など)に備え、市販薬、経口補水塩や衛生用品を携帯しましょう。
  9. 旅行前は、持病のコントロール改善に努め、適度に身体を動かすように努めましょう。
10. 旅行中に体調が悪い場合は、我慢せずに客室乗務員、添乗員あるいはホテルのフロントに相談しましょう。
11. 途上国から帰国した後に体調不良となった場合には専門の医療機関 を受診しましょう

医学の進歩やユニバーサルツーリズムの発達により、シニア世代の方々も安全に旅行できる時代になりました。
まずは、かかりつけ医、トラベルクリニック、旅行会社に相談しましょう。

大越 裕文  医療法人社団航仁会 西新橋クリニック 理事長
1981 年東京慈恵会医科大学卒業、研修後同大内科助手、1990年~91年ワシントン大学留学、1994年より日本航空 (株) 産業医
いわゆるエコノミークラス症候群対策、航空機内AED搭載プロジェクト担当  2008 年より現職
出光興産、共同通信他非常勤産業医 / 日本渡航医学会理事・トラベルクリニック部会担当・旅行業委員会委員長 / 日本産業衛生学会代議員
著書 旅の健康術、診療所で診るトラベルメディスンなど