JATA経営フォーラム報告 第23回JATA経営フォーラム2015 開催報告 「旅行業が輝く未来へ-これからの旅行業経営を考える-」

更新日:2022年06月09日


2015年2月18日開催

JATA経営フォーラム2015開催報告
「旅行業が輝く未来へ-これからの旅行業経営を考える-」

JATAは2月18日、東京・六本木の”六本木アカデミーヒルズ49″で「JATA経営フォーラム2015」を開催しました。「旅行業が輝く未来へ-これからの旅行業経営を考える-」をメインテーマに掲げ、今年で23回目と迎えたフォーラムには、会員企業など108社から276人が参加。基調講演や特別講演に加えて、従来のパネルディスカッション方式からセミナー方式に改められた「経営セミナー」では、女性の活躍の推進や人材活用、海外事業展開、マーケティングの本質、イノベーションなど、今日的な経営課題として注目されているテーマについて、各分野の第一人者による専門性の高い講演が行われ、参加者らが熱心に耳を傾けました。

  • 主催者挨拶:田川 博己 JATA会長、来賓挨拶:久保 成人 観光庁長官
  • 基調講演「持続的経済成長に向けた日本の課題」 長谷川 閑史 氏
  • 経営セミナー「女性の活躍推進が日本経済を救う?」 阿部 奈美 氏
  • 経営セミナー「なぜあの企業は採用に成功しているのか?採れる企業の法則とは?」 常見 陽平 氏
  • 経営セミナー「無印良品の海外事業について」 松﨑 暁 氏
  • 経営セミナー「ユニバーサル・スタジオ・ジャパンはなぜ攻め続けるのか?」 森岡 毅 氏
  • 経営セミナー「イノベーションの全体像と実現のための鍵」 井上 陽介 氏
  • 特別講演「宇宙、人、夢をつなぐ」 山崎 直子 氏

13:00-13:20 主催者挨拶、来賓挨拶


田川 博己JATA会長

主催者挨拶 田川 博己 JATA会長

2014年の訪日外国人旅行者数が前年比29・4% 増の1341万3600人に達して過去最高の数字となったことに言及し、「双方向交流3000万人が現実のものとなり、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、海外旅行2000万人と訪日旅行2000万人の4000万人交流時代へのカウントダウンを始める時代を迎えた」という認識を示しました。

その一方で、円安基調に加えて国際紛争やテロなどの影響により、2014年における日本人渡航者数が前年を3・3%下回る1690万人にとどまったことを指摘。「イスラム国のリスクが大きな障害になってきており、政府からは外務省の危険情報を十二分に活用し、お客様に伝えるよう指導されている」と説明するとともに、「危険度の高い地区への渡航については中止など、リスクを十分理解した上でのツアー催行をしていただきたい」と呼びかけています。

「旅行会社のネットワークを駆使して、正確な情報を発信し、風評被害が拡大することのないように努めることも私たちの使命だ」と強調すると同時に、「今ほど旅の持つ『交流の力』が必要とされる時はないのではないか」と語り、隣国である中国・韓国との関係においても、「観光交流が相互理解を促進し、平和の礎となる」ことを改めて訴えました。

韓国では、JATAが昨年12月に会員企業の社員ら約1000人の参加を得てメガファムツアーを実施し、日韓国交正常化から50周年を迎える今年の交流事業への布石としています。中国でも3月に北京でJATA役員会を開催するのに続き、5月には官民の大型訪中団による交流事業を準備していることを明らかにして、「私たちを取り巻く課題にJATAとしてひとつひとつ取り組んでいく」考えを示し、JATA会員企業をはじめ関係各方面に協力を要請しました。


久保 成人観光庁長官

来賓挨拶 久保 成人 観光庁長官

2014年における訪日外国人旅行者が1341万人となったインバウンド市場について、「訪日旅行者による消費額も2兆円を突破し、輸出産業としても大きな存在となってきている」と語っています。戦後の経済成長を支え、現在も世界でトップ水準にある日本の造船業による輸出額が1兆数千億円規模であることを紹介し、訪日インバウンドが造船業を上回る輸出産業にまで成長したことを強調。「旅行業界の皆さんには、訪日外国人旅行者向けの旅行商品の造成や質の高いサービス提供を期待しています」と表明しました。

2012年に過去最高の1850万人を記録した後、低調な動きが続いている海外旅行者数について、「観光立国の実現には、双方向の交流が不可欠であり、我々としてもその復活に向けて頑張っていきたい」と語り、「旅行業のプロとして旅行者の様々なニーズに応えうる海外旅行商品の提供を通じ、海外旅行需要の喚起に努めてほしい」と訴えています。

また、中国と韓国との観光交流拡大に向けて、旅行業界への協力を要請するとともに、昨年成功裡に開催されたツーリズムEXPOジャパンについて、「今年も昨年以上の賑わいとなるよう観光庁としてもしっかりと協力していく」意向を明らかにしました。

13:20-14:20 基調講演「持続的経済成長に向けた日本の課題」


長谷川 閑史 氏

(公社)経済同友会代表幹事 長谷川 閑史 氏

日本の現状について、「従来の中央集権の仕組みは富の再配分システムとしては機能したが、現在はどうやって負の遺産あるいは負担を配分するかという時代にあり、通用しなくなってきている」と指摘。「基本的には、財源・権限・人材を移譲して、地方の自主性を尊重し、伸びるところから伸ばすという、従来の画一的なアプローチとは一線を画した取り組みが必要だ」という認識を示しました。

日本再生に向けた当面の取り組みとして、企業業績の改善→投資拡大→雇用・所得の増加→消費の拡大という持続的な成長を実現するための好循環を生み出すと同時に、抜本的には投下労働力の増加×市場の自由度・魅力度の向上×生産性向上という経済成長に必要な3要素を高めることの重要性も強調。「人口減少により労働人口も減少していく中では、将来の人口減少に歯止めをかける施策を講じつつ、女性と高齢者による労働参加を促すことによって、労働人口の減少に対処することも必要だ」と指摘しました。

また、「投下資本を増やすには市場の魅力度を上げて、海外からの投資拡大を図ることも重要になってくる」と説明しています。外国直接投資(FDI)の国内総生産(GDP)比率では、日本は4%程度にとどまっており、経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均である30%の10分の1程度にとどまっているのが現状です。「そういう低水準でもやってこれた日本という国は、ある意味では凄いとも言えるが、労働人口の減少や高齢化が進む中で、海外からもぜひ投資をしたいという国として認識してもらえないと、経済成長はなかなか維持できない」という長谷川氏の指摘を踏まえると、日本という国の魅力を世界にアピールするという意味でも、双方向交流の拡大を目指す観光立国の動きは、今後の日本経済の成長にとっても、極めて重要な鍵を握ることになりそうです。 昨年初めて外国人旅行者数が1300万人台に達した訪日インバウンド市場にも言及し、「1300万人は通過点であり、さらに、2000万人、3000万人を目指していかなければならない」と呼びかけました。

訪日旅行者数が急増した背景として、安倍政権が産業競争力会議の中で打ち出したビザ緩和の実施や円安が大きな契機となったという認識を示す一方で、今後の課題として、「これだけの数の外国人旅行者に対して、本当に日本流の〝おもてなし〟が提供できるかどうかが問われる」とも指摘しています。 「日本に来てよかった」「また日本に来たい」と外国人旅行者に思ってもらうために、「観光業界の関係者だけでなく、国民全体が“おもてなし”の意識を持てるようにマインドセットを変えていく必要がある」と強調しました。

最後に、グローバル化による環境変化がますます加速する中で、政治と同様に、企業のリーダーにも強力なリーダーシップが求められることになると指摘。「こうした時代には、何もしないことが最大のリスクであり、リーダーは現実を冷静に見つめ、不都合な真実から目をそらすことなく将来を予測し、自らの組織が生き残り、繁栄するために必要な変革や改革を、たとえ、痛みを伴おうとも、先送りすることなく、実行する覚悟と勇気が必要だ」と強調しました。

同時に、技術立国と言われてきた日本でも、技術立国を支えるのが人材であることから、人材育成の重要性についても、改めて言及し、「世界中から有能な人材を惹きつける国家・企業を作り上げると同時に、国家戦略として人材の育成を最優先目標とする必要がある」と訴えました。

14:40-16:20 経営セミナー(個別経営課題セミナー)

「女性の活躍推進が日本経済を救う?」

日本経済新聞社 編集委員・前『女性』面編集長 阿部 奈美 氏

きょうは「女性の活躍推進」がテーマですが、「女性」を「キャリアが途切れる(離職する)かもしれない人材」あるいは「時間的に制約のある働き方しかできない人材」と読み替えていただいた方が建設的な議論ができるかと思います。「女性」と一口に言っても、バリバリ仕事をする「バリキャリ」、仕事はここまでと線引きして働く「ゆるキャリ」、家計を助けるために働く人、専業主婦など実に様々。人生観や職業観も違うのにひとくくりにして議論するのは無理があるからです。

企業取材をしていて、経営者の意識が最近ずいぶん変わってきた、と感じています。かつては「女性はコストや時間、労力をかけて育てても辞めてしまう」「コストが回収できない」という声が多かった。それが一転、「男性であれ女性であれ、優秀な人材なら制約のある働き方しかできなくなっても、我が社で働き続けてほしい」という経営者が増えています。

主な理由は2つ。まず人手不足に対する危機感。自然減だけで年26万人超も人口が減っているという厳しい現実を突きつけられ、「うかうかしていると人材という面で競争力を失う」「女性は〝眠れる人材?ではないか」と考えるようになりました。もう1つは男性中心の正社員が長時間労働して競争力を強める従来モデルが限界となったこと。猛スピードで顧客ニーズが変わっているのに、商品の供給者だけが同質の人材で組織を固めたままで勝ち残れるのか、というわけです。

キャリアの中断や制約のある働き方しかできなくなるのは女性だけではありません。男性の生涯未婚率は今や2割超。家族の介護で退職する「介護離職」は290万人。うち40から50代は170万人に上り、年10万人が介護離職しています。貴重な人材を失わないためにも、企業は柔軟な働き方ができる職場環境を整えることが重要です。


常見 陽平 氏

「なぜあの企業は採用に成功しているのか?採れる企業の法則とは?」

人材コンサルタント 常見 陽平 氏

若手人材の採用には、3つのポイントがあります。一つは、現実を丁寧に見ようということです。メディアの情報や求人情報会社の言うことを鵜呑みにせず、自分の目で学生や大学を見て、本当はどうなのかを見極めなければなりません。もう一つは、常識と感情を手放せということです。業界や自社の論理に染まりきってはいけません。管理部門の担当者として様々な部署の板挟みになり感情の起伏もあるかもしれませんが、一旦切り離して適切な距離で物事を見てください。また、最近の若者はけしからんという議論もあるかもしれませんが、人材マネジメントがうまくいっている会社は、絶対にそういうことを言いません。今の若者が活躍できるような環境を考えようとしています。若者に責任転嫁してはいけません。

旅行業界は就職人気が高いと言われますが、本当は、JTBグループの人気が高いというのが実状です。メディアは学生のミーハーぶりを叩きますが、実際には、JTBは採用活動にグループ全体で力を入れていますし、学生にビジョンを語っているのはJTBくらいです。東京五輪やインバウンドの急増、高齢者市場の活発な動きに加え、観光立国で日本を変えていこうというような業界の可能性を示す求人広告があってもいいと思います。一方で、憧れと実態のギャップがあることも確かですから、可能性を示すと同時に、厳しい現実を伝えることも必要です。

採用活動には、戦略と戦術と戦闘という3つのプロセスがあります。予算やスケジュールといった戦術だけでなく、何のためにどんな人材を採るのかという戦略がなければなりません。そして、内定が出るような学生は奪い合いになりますし、学生も短期間で意思決定する必要がありますから、闘わないと優秀な人材は採れません。採用活動で重要なのは、情熱であることを改めて強調しておきたいと思います。


松﨑 暁 氏

「無印良品の海外事業について」

株式会社良品計画 専務取締役(兼)執行役員 海外事業部長 松﨑 暁 氏

良品計画は1989年の設立から2年後の1991年には、ロンドンで海外1号店となる無印良品の店舗を出店しました。当時、良品計画の実質的なトップだった木内政雄氏の「海外で通用しないブランドは、日本でも通用しない」という信念に基づくもので、私は、非常に卓越した考え方だったと思っています。

その後、1998年には7店舗を展開していたアジアから全面撤退するなどの紆余曲折もあり、海外事業は1991年から2001年まで11年間にわたって赤字が続きました。2001年には西友との合弁事業により香港で無印良品の店舗を再び出店し、その利益により、翌2002年に海外事業の黒字化を達成することができました。

良品計画の事業全体では、1990年度に245億円だった売上高が1999年度には1050億円となり、2013年度には2020億円にまで拡大しました。2016年度までの中期経営計画では、2016年度に売上高3000億円(うち海外売上高1000億円)、世界店舗数888店舗の達成を目標に掲げています。売上高を1000億円にするまでに10年かかり、1000億円から2000億円までには14年でしたが、2000億円から3000億円への拡大は3年での実現を目指しているわけです。

良品計画では、商品・環境・情報が三位一体でお客様にプレゼンされています。そのコンセプトは、1983年に青山1号店をオープンして以来、海外展開でも一貫しており、店舗の什器や造作なども日本と変わりません。

中期経営計画では、「現場を主役に据えて大切にし、全員で『良心とクリエイティブ』を実践する風土と仕組みをグローバルに発展させる」という基本方針を掲げています。昨年11月のカナダに続いて、2016年度にはベトナム、インドに出店し、中南米にも出店の準備を整えたいと考えております。

無印良品が世界中のお客様から愛されるよう世界中、どこにでもあるお店にしていきたいと考えております。


森岡 毅 氏

「ユニバーサル・スタジオ・ジャパンはなぜ攻め続けるのか?」

(株)ユー・エス・ジェイ CMO・執行役員・本部長 森岡 毅 氏

2014年7月にグランドオープンした”ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター”は、3カ月連続で月間ゲスト数の過去最高記録を塗り替え、7カ月連続で各月の過去最高記録を更新中です。遠方からのゲストが倍増し、海外からのゲストも、訪日外国人旅行者全体の伸びと比較し、1.5倍のペースで増加しており、大きなインパクトを与えています。

“ハリポタ”は総投資額が450億円という大きなプロジェクトですが、その前段として、USJが不得意だった家族層を取り込むためのファミリーエリア「ユニバーサル・ワンダーランド」の導入で足場を固めました。

私がUSJに入社した2010年当時、年間売上は700億円程度でしたが、先行する競合企業による3000億円規模の売上を上回るには、4~5倍が目標となります。そのため、「わらしべ長者」戦法で段階的に計画を立て、”ハリポタ”はその第2段階でした。

1月からは「エヴァンゲリオン」「進撃の巨人」「バイオハザード」「モンスターハンター」という世界的な人気を誇る4大ブランドを集結させたアトラクション”ユニバーサル・クールジャパン”を5月までの期間限定で開催しており、2月の集客数は前年比で倍増となりました。2月20日には、開業初年度(2002年3月)に記録した年間最高入場者数(1102万9000人)を早々に更新しました。

マーケティングでは、消費者が対価を支払っている究極の価値を洞察する力が問われます。消費者が買っているのは「ドリル」ではなく、ドリルによって開けることのできる「穴」だという理論もありますが、エンターテイメントでは「感動」こそが「穴」だという本質的価値を見誤らないようにしなければなりません。 誰に(WHO)、どんな感動を売るのか(WHAT)、どうやって感動を伝えるのか(HOW)を極めながら、マーケティング力を中心に会社を発展させていきたいと考えています。


井上 陽介 氏

「イノベーションの全体像と実現のための鍵」

(株)グロービス グロービス・コーポレート・エデュケーション
マネジング・ディレクター 井上 陽介 氏

イノベーションの類型には、工程・プロセス・仕組みの変革という「プロセス・イノベーション」、製品・サービスの革新という「プロダクト(サービス)・イノベーション」、そして、鍵となるプロセスと経営資源を組み合わせて新たな利益モデルと顧客提供価値を創り出す「ビジネスモデル・イノベーション」があります。

セブン銀行は、2002年に約3000台だったATM台数を2012年には約1万7000台まで拡大し、いつでもコンビニで便利にATMが利用できる顧客提供価値を生み出し、年末年始には行列ができるのが当たり前だった銀行ATMの常識を覆してみせました。コンビニの単品管理による現金物流に象徴される「プロセス」と全国№1の店舗数という「経営資源」が作り出したビジネスモデル・イノベーションだったわけです。

さらに、昨今「構造的イノベーション」と「マネジメント・イノベーション」という新しい概念も提唱されてきています。

構造的イノベーションとは産業全体のあり方を変えるイノベーションです。例えば、音楽市場を革命的に変えてしまったのがアップルです。iPodという商品とiTunesというサービスを導入し、2003年から6年間で世界最大の音楽小売企業となりました。スティーブ・ジョブズが音楽業界の主要関係者に働きかけて新たなスキームを構築し、音楽業界だけでなく、メーカーやアプリケーションサービスプロバイダーも巻き込んで構造的イノベーションを実現したのです。

一方の「マネジメント・イノベーション」とは経営の在り方やヒトの働き方そのものに革新性をもたらすことです。マネジメント・イノベーションを実現するためのキーワードは「オープン」、「スピード」、「ダイバーシティ」です。

自社の経営において、マネジメント・イノベーションとして何を実現すべきなのか、ツーリズムにおける構造的イノベーションをどう捉えるか、ぜひ、そんなことを発想していただきたいと思います。

17:00-18:00 特別講演
「宇宙、人、夢をつなぐ ~日本からの宇宙旅行に期待 沖縄県にスペースポートなるか~」


山崎 直子 氏

宇宙飛行士 山崎 直子 氏

私がスペースシャトル「ディスカバリー」号で宇宙へ行ったのは、2010年4月5日のことです。国際宇宙ステーション(ISS)での仕事などを終えて地球に帰還したのは4月20日でしたが、その宇宙飛行の前に費やした訓練期間は11年に及びました。

国際航空連盟は地表から100㎞以上の上空を「宇宙」と定義していますが、私が仕事をしたISSは、地表から400㎞の軌道を周回しています。現在、サブオービタル宇宙旅行と呼ばれているのは、スペースポートと呼ばれる空港を飛び立ち、100㎞の高さを5分ほど飛行して無重力状態も体験し、再び空港に戻ってくるものです。この場合、事前に3日間の訓練を受ければ、18才以上の健康な方は誰でも宇宙空間を飛ぶことができます。

スペースシャトルは、400㎞の上空に到達するまでの時間は僅か8分30秒です。現在の航空機は、高度10㎞くらいの上空を飛んでいますが、100㎞以上の高さを飛行するようになれば、宇宙空間ではマッハ25というスピードも出せるため、日本から米国まで2時間で行くことも可能です。

米国にはすでに9つのスペースポートがありますが、日本でもサンゴ礁に囲まれて「世界で一番美しい」と言われる沖縄県の下地島空港で、その利活用案の一つとしてスペースポート事業が提案されています。これまで持病があったり高齢だったりすると宇宙には行けませんでしたが、技術の進歩によってハードルはどんどん下がってきていますから、近い将来、日本から宇宙旅行に行ける日が来ることを、心から楽しみにしています。