会報誌「じゃたこみ」 第25回 中連協通常総会を実施しました

更新日:2024年06月28日


2024年6月27日(木)中華人民共和国訪日観光客受入旅行会社連絡協議会(以下中連協)は、第25回中連協通常総会を実施しました。
中連協は中国からの円滑な訪日旅行の実施と日中友好を目指しており、JATAが事務局を担い、本年度は、定時総会、セミナー、名刺交換会の内容にて実施されました。

               

まずはじめに、中連協 石田 恒夫会長が挨拶、石田会長は「訪日旅行予約は順調に回復してきているが、予約はネット利用が急速に進んでいる。旅行会社は量だけでなく質(旅行の高付加価値化)に知恵を絞り、訪日中国人に新たな提案をしていくなど工夫が今後必要。また、ツーウェイツーリズム(双方向交流)が重要である旨にも言及し、来年2025年は大阪・関西万博もあるのでこれを契機とした日中交流拡大と周辺地域への地方誘客促進への取組みを図りたい」と述べました。

                  

                中連協 石田 恒夫会長

続いて、ご来賓の方々よりご挨拶がありました。観光庁国際観光課 アジア市場推進室 栃原 裕幸課長補佐は「訪日旅行は好調だが都市部に集中しており、都市部のみならず地方の魅力・誘客を拡大するプロモーションへの取組みに力を入れたい。また、貸切バス運賃制度の中国語版ができたので、中国の旅行業者だけでなく日本の旅行業者の皆様にもあらためて理解を深めていただきたい」、外務省領事局外国人課 今鷹 和香子主席事務官は「コロナ後、査証の発給数が急速に回復しており、電子ビザも活用するなどで対応している。多くの方に日本を訪問いただき日本を好きになっていただくことで日中の将来の関係作りにつながることを期待している。また、入国手続(入国審査、税関申告)及び免税購入に必要な情報を登録することができるウェブサービス『Visit Japan Web』をより活用いただきたい」、中国駐東京観光代表処 欧陽 安 首席代表は「中国では国内・海外いずれの旅行も回復し活発になっている(リベンジ旅行)。観光は双方向の往来があってこそ、日本からも是非中国へ来て欲しい。中日観光の架け橋として寄与していきたい」とそれぞれ述べられ、コロナ禍を経て急速に回復してきている訪日旅行において中国・日本双方向でマーケットの更なる拡大を図っていくことが重要である旨共有されました。

      

   左:観光庁国際観光課 アジア市場推進室 栃原 裕幸課長補佐
   中:外務省領事局外国人課 今鷹 和香子主席事務官
   右:中国駐東京観光代表処 欧陽 安 首席代表

そして、通常総会開催の後、セミナー、記念講演、名刺交換会が行われました。
セミナーは、「2024年中国市場の動向と高付加価値旅行の推進」というテーマで、JNTO海外プロモーション部アジアグループ 高橋 歩様が講演。市場概況、JNTOの取組み紹介、中連協との連携実績などについてデータや具体的事例を基に説明があり、その中で高橋氏は「コロナ後の中国市場の変化に注目し、ニーズとトレンドを踏まえた商品開発(地方誘客、高付加価値旅行)が重要。関係者とのネットワーク構築にも力を入れながら大阪・関西万博や北陸支援にも寄与したい。様々な形で相互協力し本格的な復活を目指したい」と述べました。

           

       JNTO海外プロモーション部アジアグループ 高橋 歩様によるセミナーの様子

記念講演は、「日本の観光産業が中国人の心をつかむ方法」というテーマで、日中ジャーナリスト 莫 邦富様が講演。中国人が好む観光という目線に立った旅作りのヒントとして、高知県でよさこい祭りにフォーカスした旅、世界一周のグルーズ船の中国人旅客の120日間有効のビザ発行など、ご自身が携われた事例を紹介。「どんなに小さな事でも改善しようという心がけの積み重ねが大切」と話されました。そして、インバウンドが日本経済に与える影響・効果については、観光消費額は電子部品や鉄鋼の輸出額より多く大きなポテンシャルがあるとしました。最後に、今後への課題や日中関係への展望として、「日中交流は『ハードからソフトへ』。おもてなしの心、人と人とのつながりなどが大切であることを意識し、その魅力を発信していくべきである」と期待を寄せる言葉で締めくくりました。

           

       日中ジャーナリスト 莫 邦富様による記念講演の様子