会報誌「じゃたこみ」 【EXPO】いよいよ開催 「ツーリズムEXPOジャパン 2022」制作現場の裏舞台に迫る
担当者インタビュー その2<展示会編>

更新日:2023年12月22日


 年に1度、開催されるビッグイベントがどのようにして作り上げられるのか、「ツーリズムEXPOジャパン推進室」担当者の話を交えその裏舞台に迫る新企画。全4回でお届けします。

第2回目は、2014年「ツーリズムEXPOジャパン」立ち上げにも携わり、
現在は、同室で展示会を担当している福島 和彦部長に話を聞きました。

取材日:2022年7月29日

TEJ推進室 福島 和彦部長

 

――世界の旅行展示会と比べた場合の「ツーリズムEXPOジャパン」の特徴を教えてください。

世界には様々な旅行展示商談会があります。中でも代表的なイベントをTEJと比較すると以下のようになっています。

出典(除くTEJ数値):JETRO日本貿易振興機構

 出展者数、来場者数など、さまざまです。「ツーリズム EXPO ジャパン」で特徴的なのは、JATA、日本観光振興協会、日本政府観光局(JNTO)、観光団体3者が共催、三位一体で開催していることです。この点においては、世界には他に類を見ないイベントと言えます。UNWTO(国連世界観光機関)リファイ事務局長(当時)から評価いただいたこともあります。業界来場者数66,273人・一般来場者数136,079人となった2018年実績を踏まえ「業界日・一般日ともにこれだけ充実している旅行博は世界に類を見ない、まさに世界三大旅行博(WTMロンドン、ITBベルリン、FITURマドリード)に並ぶ一つであろう」とのコメントをいただきました。観光の裾野が広がり、広くあまねく多くの事業者が観光ビジネスに関わっている昨今、経済産業省や文化庁がスポーツと観光を結び付けたプロジェクトをPRしたり、農林水産省が農泊についてのブースを出展したり、官民連携による出展も増えており、イベント開催による地方創生への貢献価値が益々高まっています。

※国連世界観光機関(UNWTO)は、責任ある、持続可能で、誰もが参加できる観光の推進を責務とする国連機関

 

 

――展示会担当としてのお仕事内容は?
イベント企画から、出展小間の営業、開催当日の運営まで

 「会場を手配し、どのような内容のイベントにするか組み立てていく」、「それに見合った展示出展者を招致していく」というのが大きな仕事です。新型コロナウイルス感染症の影響で東京オリンピック・パラリンピックの開催が一年延期になり、コロナ禍の真っただ中で2021年を急遽、大阪・関西での開催(最終的には中止)とし、2022年の会場を東京ビッグサイトに決定しました。今年の場合、失われた2年半を経て、事業者においては「ツーリズムを復活させる」、「反転攻勢にもっていく」、「市場がなくなったところでリスタートさせる」といった復活に向けた様々な思いがある中、主催者として「なんとしても観光復活の象徴的なイベントにしたい」という強い思いで準備を進めています。
 会場選定後に行うのは、どれだけの事業者に出展してもらえるかを想定し、応分の会場サイズを割り出すことです。今年度の開催にあたっては2018年度比(東京ビッグサイト開催)、およそ7割~7割5分ほどの設計にしています。
 サイズが決まった後には、招致に向けた営業活動に着手し、販売するブース数を算出、1ブースでも多く売れるよう、どのように営業をかけていくのかを考えます。1,100以上のブース出展獲得にあたり、クライアントベースでは、およそ400企業・団体に対し営業をかけます。従来から接点のある人、大規模出展の事業者とは連絡を重ねながら訪問して商談します。厳しい経済事情にある中、ブースを縮小される出展者も多いです。当然、減少した分を取り戻す必要がありますので、新規開拓にも励んでいます。例えばワーケーションを切り口に、関連する協議会を探し出し、DM送ったりしています。今年は新たな出展者を誘致するためにも「アドベンチャーツーリズム」や「ワーケーション」などテーマ別の出展コーナーを設けました。このようにテーマを設けることで、新たな出展者獲得の可能性が広がります。一つのテーマを軸に幾つかの事業者が出展することで、新しいビジネスのありかたが見えてくるといった機会創出にも繋がり、イベント自体の価値を高めることができます。このようにイベント企画から、出展ブースの営業、そして開催当日の運営までを手掛けるのが私の仕事です。

 

 

――やりがいや苦労している点は?

2か月遅れのスケジュール
開催を目前に控えた今、なお海外出展者からの問い合わせが続く

 営業について今年、特有の悩みがあります。水際対策が厳しい中、海外の出展者にどれだけ来ていただけるのか、設計の段階から気を揉んでいました。国内が中心なることを織り込み、国内の営業のボリュームを大きく、海外は例年と比べ半分くらいのレベルに設定しました。結局のところ「まん延防止等重点措置」が解除される今年の3月くらいまでは、国内、海外共に、全く反応がありませんでした。それぞれの事業者においても、コロナ禍の対応によりそれどころではなかったと認識しています。このような状況下、4月までとしていた、エントリーの最終締め切りを5月まで延長せざるを得ませんでした。社会の動きに合わせた対応を迫られ、当初のスケジュールより2ヶ月ほど遅れて進行しています。本来であれば、現在(8月)は営業を終えて、イベント運営に専念する段階のはずですが、海外からの問いあわせがようやく入ってくるようになったという状況です。開催を目前に控えた今、営業を続けなければならない、そんな切羽詰まった状態が続き、なかなか気が休まりません。とは言うものの、このような生みの苦しみを味わう一方、新しいツーリズムのあり方を提案し、業界プレゼンス向上の一端を担う「ツーリズム EXPO ジャパン」の仕事にやりがいを感じています。

 

 

――最後に読者の方へメッセージを

「観光SDGsデジタルスタンプラリー」で三方よしを体現

 今年のイベントでは、大きなテーマとしてSDGsを取り入れています。言葉はよく聞きくものの観光側面で、どのように取り組むべきなのか?「主催者」と「出展者」、「来場者」が一体となって考えていけるよう呼び掛けています。一般来場者日には楽しみながらSDGsを学び、理解を深める「観光SDGsデジタルスタンプラリー」を用意しています。デジタルスタンプラリーを活用し、ブース回遊に繋げ、各社のSDGsの取り組みを紹介します。「出展者、来場者、主催者」各々がメリットを享受できる、三方よしとなる仕組みです。SDGs達成に向け、業界として進むべき方向性について考える機会にしていただければと思います。

 


「観光SDGsデジタルスタンプラリー(イメージ)」

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