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更新日:2024年08月11日
2024年7月18日(木)東京・霞が関の全日通霞が関ビルで、「2024年度 JATA記者懇談会」(主催:JATA広報委員会)を開催しました。 毎年1回行われるこの懇談会は今年で11回目を数え、毎年、報道各社の皆様へJATA・旅行業界の取組みをご理解いただくとともに意見交換を行い相互交流を深める目的で行われています。 今年は「旅行業界の完全復活とさらなる成長、発展に向けて」というテーマで発表、報道各社からは新聞社(業界紙・一般紙)より11社/16名の参加がありました。
記者懇談会の様子
■2024年度 JATA記者懇談会 次第■ 【第一部】 1.全体説明 : 髙橋 広行 会長 2.国内旅行 : 小谷野 悦光 副会長 3.海外旅行 : 酒井 淳 副会長 4.訪日旅行 : 百木田 康二 訪日旅行推進委員会委員長 5.協調と共創 : 原 優二 副会長 6.サスティナビリティへの取組み : 美甘 小竹 社会貢献委員会委員長 7.質疑応答 ※資料は こちら(2024年7月18日(木) 記者懇談会 JATA本部)
【第二部】 交流会(意見交換会)
【第一部】
1.全体説明 : 髙橋 広行 会長 冒頭、高橋会長は全体概要として、特に重要な以下5つの項目について説明しました。
髙橋会長
2.足元の販売・受注動向 主要旅行会社の販売・受注の動向については、全体的には2019年と比較して7割を超え回復の目途が立ってきており、特に訪日旅行についてはJNTO発表の5月推計値では、3か月連続で300万人を超え、2019年の過去最高を超えてきたとしました。一方、海外旅行については為替や物価高等の影響を受け2019年比で6割強に留まっており、これから更に機運醸成に向けて取り組む必要があると述べました。
3.旅行業が発展・成長するための旅行業界のあり方 これからの旅行業の発展・成長については、「海外旅行」「高付加価値化」「協調と共創」「休み方改革」 「人材確保」をキーワードに、先般閣議決定された政府の「経済財政運営と改革の基本方針2024」、 いわゆる「骨太の方針」でも「持続可能な観光立国の実現」に向け、民間企業だけでなく官民連携での 取組みや、業種を超えたマッチングによる新しいビジネスモデルの形成が不可欠であるとしました。
4.北陸支援について 未だ厳しい環境に置かれている能登半島地震の復興については、「北陸は私たち旅行業界にとってなくては ならない重要なデスティネーションであり、JATAでは義援金やボランティア活動、商談会の開催など被災地 が完全復活するまで寄り添ってこれからも様々な支援策を展開していきたい」との考えを述べました。
5.ツーリズムEXPOジャパン2024について 今年は2年ぶりに東京ビッグサイトで4日間(9月26日~29日まで)開催されること、海外からの出展者が多く 日本からのアウトバウンド需要の期待の大きさが表れていることなどに触れ、日本における国内・海外・ 訪日旅行が完全復活した姿を国内外に向けてアピールしたいと抱負を述べました。また、俳優の山口智子 さんを「ツーリズムEXPOジャパン2024」のスペシャルサポーターとしてお迎えし、開催期間中には様々な イベントに参加していただく予定であることも発表しました。
2.国内旅行 : 小谷野 悦光 副会長
小谷野副会長
小谷野副会長(国内旅行推進委員会 委員長)は、マーケットの現状、平日旅行推進、観光産業共通プラットフォーム、北陸復興支援、について説明をしました。国内マーケットの現状については、2023年と2019年(コロナ前)の対比において、日本人・インバウンドともに、国内旅行宿泊者数はの2019年水準に戻っていること、そして旅行消費額においては、宿泊単価の上昇もあり、2019年を上回る状況となっていることを説明。しかしながら、旅行の個人手配化(OTAの伸長)により旅行会社の取扱いは2019年比で8割程度の回復に留まっているとし、旅行会社は今後、「代売」から脱却した新たな事業展開(「価値ある商品の企画・販売」や「地域連携し発着双方での需要・人流・価値の創出」等)の必要性を訴えました。 平日旅行推進については、土日や連休への需要の集中やオーバーツーリズムについて、その改善には民間のみならず、国や自治体と連携したムーブメントの醸成により持続可能な観光の実現につなげたいと述べました。そして、観光産業共通プラットフォームについては、復興支援を行っている北陸地域について、先般の能登半島地震においても災害時情報集約機能を活用して、宿泊施設の被害状況の把握や旅行会社への情報提供を行うことができ、また、能登半島地震発生後、自治体・DMOの方々からの問い合わせや利用申込みも増えてきている事例を示し、今後については、システムの機能強化や模擬訓練等を通じてさらに危機管理能力向上の磨き上げを図りたいとしました。
3.海外旅行 : 酒井 淳 副会長
酒井副会長
酒井副会長(海外旅行推進委員会 委員長)は、マーケットの現状と今後の販売拡大にむけた課題について説明をしました。 まず冒頭に、「海外旅行自由化60周年」について触れ、節目の年としてJATAでは60周年ロゴを作成し業界全体でアピールを行っていることを紹介しました。 しかし、現状としては、アウトバウンドについては、コロナが2類から5類へ移行した後も回復が十分でないとし、旅行会社主要43社の2024年上半期と2019年の対比における旅行取扱高は約44%に留まり、特に個人のレジャーマーケットの回復が鈍く今後の推移を引き続き注視していくとしました。 国別渡航者数は、為替や物価高の影響を受けにくく、LCC利用などの航空便の環境が戻ってきている韓国・ベトナム・台湾・トルコなどが多いと述べました。そして、アウトバウンドの完全復活に向けた課題とその改善策については、航空仕入環境(ビジネスクラスやLCCは満席になるのが早いため早期買取などの工夫が必要)、旅行代金(価格競争ではなく納得感ある付加価値商品の訴求が必要)、募集型企画旅行(OTAではなく旅行会社を経由して旅行参加する人を増やす工夫)を挙げ、そのためには「デスティネーションを知る」ことが重要で、国・地域ごとの状況に応じた深堀(FAMツアーや商談会、ウェビナーなどを通じて旅行会社の造成担当者が新規情報の共有をし現場を再認識する)により販売の拡大 につなげていきたいとの考えを示しました。
海外旅行自由化60周年ロゴ
4.訪日旅行 : 百木田 康二 訪日旅行推進委員会委員長
百木田訪日旅行推進委員会委員長
百木田訪日旅行推進委員会委員長は、訪日旅行の全体概況と課題、これからの訪日の旅のあり方について説明をしました。 まず全体概況では、旅行者数はコロナ前・2019年は3000万人に対し2023年は2500万人まで回復していること、国別シェアでは韓国(26%)・中国(16%)・台湾(16%)と近隣アジアからの旅客で約6割を占めていること、消費額は総額では2023年(約5兆3000億円)はコロナ前・2019年(約4兆8000億円)を超えていることなど、順調に回復している状況を数値で紹介。ただし、中国からの訪日旅客に限っては、コロナ前・2019年と2023年を比較すると国別シェア(27%→16%)、消費額シェア(37%→14%)と遅れていること、旅行予約方法についてはOTA型にシフトしているが、旅行会社を通した予約に取り戻す工夫が必要であると述べました。 急回復により生じている課題(観光事業者への意識調査より)については、人材不足、交通整備不足、地方路線復便の遅れ等を挙げ、中でも交通整備不足についてはライドシェア、観光型MaaS等、官民で連携していきたいとしました。そして、その解決策として、「持続可能な観光地域づくり」「インバウンド回復戦略」「国内交流拡大戦略」を3つの柱とし、高付加価値化、地方分散化、SDGs推進(サスティナブルツーリズム)による旅の質の転換への取組みが重要である旨、旅行会社や自治体の具体例をあげながら説明をしました。
5.協調と共創 : 原 優二 副会長
原副会長
原副会長は、「JATAビジネスマッチングサイト」(当会会員間の共創・協業の促進を目指したプラットフォーム)の開設とその利用状況、今後の取組みについて説明をしました。 まず、機能として、「サービス紹介機能(わが社のサービス使いませんか?と呼びかけ)」と「サービス募集機能(こんなサービスあったら使いたいけどありませんか?と問いかけ)」により要望を具体的にすりあわせ、マッチングさせることができるのがこのサイトの特徴であり、現在の利用状況(2024年6月現在)は、掲載案件累計46件、マッチング申込数13件、累計PV数約65,000PV、平均セッション時間約300秒と順調であるとしました。掲載案件については、業務支援や連携システム、提携パートナーの募集、保険やクーポン等多岐に渡り、その中でも特に「訪日系の協業募集案件」「DX系のシステム紹介案件」「業務システム連携案件」に問い合わせが多い傾向にあり、昨今の状況を反映していると述べました。 今後については、動画掲載やグーグルアナリティクスのデータ共有など、利用者に対しより見やすく分かりやすく改善しマッチング率を上げていきたいとも述べ、是非積極的に活用いただきたいと呼び掛けました。
6.サスティナビリティへの取組み : 美甘 小竹 社会貢献委員会委員長
美甘社会貢献委員会委員長
美甘社会貢献委員会委員長は、サスティナビリティへの取組みとして、「第2回 JATA SDGsアワード」について話をしました。 JATAでは、SDGsの取組みを表彰し会員会社と共有することで、旅行業界全体のSDGsへの関心と具体的な取組みを促進することを目的としていると、このアワード創設の経緯を説明、そして、今年の受賞作品の紹介をしました。 大賞作品「常磐沖の海産物など福島県『浜通り』地域の味覚と新たな魅力を体験する一般向けツアーを販売・実施し、『浜通り』の風評払しょくと復興を後押しする取組」(株式会社読売旅行)については、福島第一原発の事故後の処理水問題などで今なお風評被害が続く福島県「浜通り」において、震災遺構の見学や「常磐もの」の地元グルメを味わうことでツアー後にも参加者が福島について考え、復興支援を風化させない、地域の活性化にも寄与する、という視点が高く評価されたとしました。 そして、JATAでは今後も会員会社のSDGsへの意識を高め、好事例を共有していきたいと抱負を述べました。
その後行われた質疑応答では、インバウンドとアウトバウンドの需給バランスに向けた取組みに関すること、若年層の海外渡航離れに対する対応策について、旅行業界の人材不足(人材確保)や労働条件について、インバウンドへの二重価格問題、ディズニーのクルーズ参画について等幅広い質問があり、髙橋会長やそれぞれ担当する役員が回答しました。
【第二部】
交流会(意見交換会)
第一部終了の後、第二部として交流会(意見交換会)が行われました。 髙橋会長はじめ、役員が記者と直接話し、活発な情報交換・意見交換が行われ、会場は賑わい、お互いに理解を深める大変貴重な機会となりました。
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